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◆2022年5月28日、朗読劇をおこなわれた     
   9条の会-所沢やまぐち のみなさんはこちらです。
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5月28日(土)、山口公民館にて「9条の会 所沢やまぐち」の総会で、「明日のハナコ」の短縮版朗読劇が上演されました。

「9条の会 所沢やまぐち」というのは、2004年に井上ひさし氏ら9名の連名で発表された「9条の会アピール」を支持し、日本国憲法9条の理念を「人類普遍の原理」であると考え、この理念が尊重される社会をめざしこれを広めることを目的としている団体です。2010年2月に規約を制定し、今日まで活動を続けています(代表 門目省吾・伊勢田芳子)。

そんで「9条の会アピール」というのをご存じない方は、ぜひ、http://www.9-jo.jp/appeal.html をご覧ください。今の、ウクライナ情勢を理由に軍備増強を唱える風潮に対しても、実にすがすがしく対峙している宣言だと思います。

以下は、その会の方から送っていただいたレポートです。

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昨日、私ども「9条の会所沢やまぐち」の総会があり、予定通り第2部で「明日のハナコ」短縮版朗読劇を初披露しました。ぶっつけ本番のような形でしたが、出演者も観客もとても好意的な感想を書いてくださり、わたしも感激しています。

出演者は会員の有志11名。ナレーター5名、ハナコ、小夜子、村の男・女・爺・婆各1名です。これは、総会出席会員の約半数が出演したことになります。

前段で、福井県の原発状況を1分間、後日問題となった劇中のセリフについて1分間説明した後にいよいよ朗読開始。ハナコ以外のほとんどが高齢者、爺・婆役は共に84歳の会員です。短縮した朗読劇15分の間に、75年もの年月の経過があるので、節目に当時流行した歌謡曲(5曲)を効果音で数十秒ずつ流しました。

たった1回のリハーサルだけで、予想以上のチームワークが醸成されたのか、終演後に集めた「感想文」からは、提起した問題を確かに受け取ってもらえた手応えを感じました。

・この劇を上演したことこそ希望です。そして高校生に未来を感じます。放映しないことを、このテーマと関係ないことを持ち出した大人達の汚さを感じます。まさに今の日本の縮図ですね。

・メッセージ性の高い「明日のハナコ」非常に素晴らしかった。各地でこの寸劇を公開してほしい。文化祭で取り敢えずステージで上演してほしい。9条の会の活動として、今後も幅広い新しいユニークな活動の場を広げましょう!

・原発村の成立がよくわかりました。「未来の人々」に、原発のない社会を渡したいと思います。

・日本列島原発銀座。みんなお金と引き換えに誘致。原発を題材にしてはいけない程「キケン」なものだと言っているようなものではないか。福島で爆発しても尚真実をかくして政府は続行しようとしているのは。。。

・長編をこれ丈に構成され、ポイントがよく分かりました。ウクライナのロシア侵入を機に、原発への回帰が語られるなか、原発の立地がこのように進められていることを劇化されたことは敬意を表します。事実を明らかにすることの大切さ、力がありますね。その後の扱い方に怒りをおぼえます。いつか来た道にしないように発言を続けましょう。

・福井にこんなにたくさんの原発が今も残っていること、稼働していることを初めて知りました。わたしが知らなかったくらいなので、若い世代の人で原発の問題を知らない人は多いと思う。自分の身をもって影響を受けてからこそ、このような機会がないと知ることはなかったと思う。

・高校生がこのような問題意識をもって、素晴らしい劇を作成され演出されたことに敬意を表します《勘違い?》。自ら出演してみて、あらためて国の原発政策のひどさを痛感しました。このような劇が放送されなかったことは、「表現の自由」を侵すものです。ぜひ一般に放送され、公にされることを希望します。

・結末の部分で、若い人が「社会を変える!」「演劇の世界をめざす!」と言ったのが良かった。この地域社会が、原発の中に巻き込まれつつある中で展望を見出している。

・短い時間に良くまとめられ、判り易く感動しました。知らない、知ろうとしない人が大勢いる。もっと発表できる場を増やせると良いと思う。各学校でも発表できるように。これ「朗読劇」を、他へも知らせることを考えたい。何かある筈。

・放送から外された件は知っていました。おそらく批判的な内容だからかなと思っておりましたが、劇の内容とても感動しました。若い方が正面から原発の正体を表していることについて、本当のことしかこの中では扱っていません。すべて真実です。今日この機会があったこと、こんな脚本を作っていただきありがとうございました。

・原発問題は、学生の頃から授業で少し学ぶ程度でしたが、3・11があり、家庭を持つ身になり、身近にある問題として考えるようになりました。今回の台本は抜粋されたものでしたので、全体的なことはわからないですが、あらためて福井にこれだけ多くの原発があって更に再稼働をくりかえしていることを知るきっかけになりました。高校演劇という場で上演されることはとても意味のあるものと思いました。

 

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本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。「当時流行した歌謡曲を流す」なんて、すごく面白そうです。そうか、そういう手があったか。僕たちは、原発が作られていくところのハナコの長台詞に、三波春夫さんの「世界の国からこんにちは」を流しました。明るい歌声と原発が作られていく様子とが重なって印象的なシーンになったと思っていました。でも歌謡曲もいいですね。うーん。悔しい。

それから、なんというか、演じることによっていろいろなことを発見されたようで、それがなんとも嬉しいです。そうですよね、劇は、自分がやってみると一番よくわかるんです。表現することで僕たちはさまざまなことを深く理解する。それは演劇の素晴らしさです。僕が演劇部の顧問を長年続けたのも、そういう理解の変容が生徒の上にスリリングに出現したからでした。というわけで、ほんと、全国のみなさん、ぜひ、「ハナコ」を自分で上演してみて欲しいです。二人いればできます。びっくりするような発見に出会えますぞ。

それからさらに蛇足を述べるならば、感想の中の「高校生が問題意識をもって、素晴らしい劇を作成され演出されたことに敬意を表します」というところは、「勘違い」というわけではありません。ここは、福井農林高校演劇部の生徒たちに代わって、賛辞を素直に受け取りたいと思います。確かに脚本を最終的に書いたのは指導員だった僕、玉村です。とはいえ、それで劇がすぐ完成するわけではありません。生徒たちがその脚本に血や肉を付けていって、それで舞台が完成します。だから「高校生が問題意識を持って」作っていったというのはまったく正しいと思います。操り人形には劇は作れません。

・・・といってもなかなかわかってもらえない。うーん。どうしてなんでしょう。高校生をナメてんのかしら(^_^;) 子供にはそんな問題意識なんかない、自律的に行動できない、大人の支配下にあるべきだ、大人のいうことには従うものだ、それが素直でいい子というものだ、そんな考えを持っている大人が、実は結構多いんじゃないでしょうか。そして、そういう人たちは必ず言うんです、「こんなことを高校生が考えるはずがない」。そんなことはありません。子供たちは大人になります。そして、演劇は、人間に成長を促す、とてもすぐれた装置なのです。

 

  玉村徹

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