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◆2023年3月、日本史機関紙協会 埼玉県本部が発行する「SAITAMA ねっとわーく」454号 では、原発事故から12年 という特集が組まれ、「明日のハナコと表現の自由」というタイトルの記事が掲載されています。こちらです。
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■その紹介をする鈴江俊郎の書いたブログの文章はこちらです。

 

 日本機関紙協会埼玉県本部、という団体が発行している月刊誌「SAITAMAねっとわーく」で、記事にしていただいた。「特集 原発事故から12年」という号の、5ページから8ページ。台本の一部抜粋も掲載されているし、恥ずかしながらわれわれチーム118によるリーディング上演の写真も掲載されている。

 原発には反対の意思を持って、「明日のハナコ」上映中止には批判的な立場での論調となっている。良識を持つ人たちの思考は、つねに明晰なのだ。

 http://www.kikanshi-nw.or.jp/index.html

 台本の掲載許可を求められて、玉村はこういう返事をしています。

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台本の使用についですが、どうぞお使いください。

つたない物ですが、何かの力になれたらこれに勝るものはありません。

ちょっとだけこちらのことを申し上げますと、いま福井ではやはり主流は原発推進に傾いています。それでお金が入ってくることは間違いないし、どうも北陸新幹線の延伸と、原発容認は取引材料になっているんじゃないかとも思います。これは妄想かも知れませんが。

県民の多くは、まあ大丈夫でしょう、と安全性バイアスの中です。そうでもなければ、10数基も原発のある地域に住んでいられませんけど。

気にしないことで、忘れることで正気を保っている。というか、正気ではないのかも知れませんが。だから、『明日のハナコ』については神経質になる。

とりわけ神経の脆弱な先生方が、『生徒たちを守らなくちゃ』と立ちあがったりする。あれはある種の狂気の中での出来事だったのだろうと思っています。

たぶん、これは県外の、原発のない地域の人たちにはなかなか理解されないでしょう。どうしてこの台本が否定されたんだ、不思議だ、と県外の人には何度も尋ねられました。

福井の人たちが変なんです、といってもわかってもらえない。格別に福井の教員たちが不見識なのだ、という結論しか出てこない。

でも多分この病気は薄まっているけれど、日本中に、たぶん世界中に広まっている。

『明日のハナコ』を作った生徒たちは、今年の春、卒業します。先生たちの不安はまったく的外れで、誰からもバッシングされなかったし進路も順調に決まりました。でも、この子たちが同じ病気にかかっていくのかと思うと情けなくも恐ろしいと思います。

大人は何という世界を残してしまったのか。

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 こうやって問題全体をあらためてふりかえる記事が出て、読ませてもらうと、あらためて思う。

 「明日のハナコ」がきっかけでのぞきこむことになった日本社会、日本の民意の底抜けの暗さは、とてもこわいものだった。いや、劇作家協会、高校演劇全国協議会、演出者協会、そういう全国組織がこの明確な言論封殺をまえにして、まったく沈黙をきめこむことは、またいちだんと、私は怖かった。そのとき、私がショックを受け、恐怖を感じたのはひどいものだった。

 封殺する福井の校長先生、それをバックアップする教育委員会、唯々諾々としたがう一般教員たち、そういう加害者たちのことは、もちろん怖かった。けれど、私がもっと大きくて怖いと思ったのは、加害者でもなく被害者でもない、表現者たちの反応だった。劇作家、演出家、全国の演劇部顧問たちがスルーしたことだ。彼らは求められて、幹部たちが協議した。話し合った。そして、「なにもしない」と決めたのだ。

 ひとごとだから?自分が「アンチの人だ」と思われたくない保身が集結した?「アンチ」ってださい、って無意識の集合?

 ロシアが反体制の意見を封殺していて怖い国だ、と、みんな思っている。だけど日本は、封殺もされてないのにすすんで黙る国だ。

 反対派がいない国を、権威主義国家という。いつも、どんなことでも、意見はふたつ、みっつ、いやもっと、いろんな種類の対立するものが交わされていてこそ、健康な国なのに。

 どうしたらいいのだろう。

 

                       鈴江俊郎

どうか、この雑誌を購入してお読みください。

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